「無添加」の意味とは?何が入っていないのか言葉の仕組みを解説

A woman shopping for fresh produce in a vibrant supermarket setting. Uncategorized
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スーパーのパンコーナーで、「保存料無添加」と書かれた食パンを手に取ったとします。隣には何も書かれていない食パンが並んでいます。値段は50円ほど高い。棚の前で少し迷って、結局「無添加」の方をかごに入れる。そんな経験がある方は多いと思います。

このとき、頭のどこかで「無添加=体にやさしい、何も余計なものが入っていない」というイメージを持っていないでしょうか。実はこの言葉、思っているより狭い意味でしか使われていません。

「無添加」と書かれた商品は、本当に何も入っていないのか

結論から言うと、「無添加」はその商品に添加物が一切入っていないという意味ではありません。多くの場合、「特定の添加物を使っていません」という限定的な宣言です。

理由は、この言葉が法律で厳密に定義されたものではなかったことにあります。「保存料無添加」なら保存料を使っていないという意味であって、着色料や香料については何も言っていません。「無添加」とだけ大きく書かれていても、パッケージの原材料表示を見ると乳化剤やpH調整剤が入っている、ということは珍しくありません。

実際にスーパーで、無添加と書かれたハムと、何も書かれていないハムの原材料欄を並べて読み比べてみると分かります。無添加側にも、調味料(アミノ酸等)や酸化防止剤が記載されていることがあります。「無添加」の文字は目立つ場所に大きく書かれ、何が無添加なのかは小さな文字で添えられている、という配置がよくあります。

ただし、すべての商品がこうだというわけではありません。本当に添加物を使わず作られている商品もあります。見分けるには、キャッチコピーではなく原材料表示まで目を通す必要があります。ここは面倒に感じるところですが、表示を確認する以外に確実な方法はありません。

「保存料無添加」なのに腐りにくいのはなぜか

保存料を使っていないのに日持ちする商品がある理由は、保存料以外の方法で菌の繁殖を抑えているからです。保存料を使わないこと自体は難しくありません。

仕組みを順に見ていきます。まず、容器や包装で酸素を遮断する技術があります。真空パックや窒素充填がこれにあたります。次に、pH調整剤という「保存料ではないが保存性を高める添加物」を使う方法があります。さらに、加熱殺菌を強めにかけたり、水分活性を下げて菌が増えにくい状態にする製法もあります。つまり「保存料は使っていないが、別の手段で保存性を確保している」というのが実態です。

総菜売り場で、保存料無添加と書かれたポテトサラダが、普通のものと同じくらいの消費期限で売られているのを見たことがあるかもしれません。これはpH調整剤や容器の工夫によって、保存料を使った商品と近い保存性を実現しているためです。味がやや酸味を感じる場合、pH調整剤の影響であることもあります。

例外として、本当に何の対策もせず保存料を省いた商品は、消費期限が明らかに短く設定されています。棚で見かけたら消費期限の日数を比べてみると、どちらのタイプかが推測できます。極端に短い期限の商品は、文字通り何も足していない可能性が高いです。

「無添加」と「オーガニック」は同じ意味なのか

この二つは別の話です。無添加は添加物の有無に関する表現で、オーガニックは栽培方法や原材料の由来に関する言葉です。重なる部分はありますが、イコールではありません。

オーガニック(有機)は、農薬や化学肥料を使わずに栽培された原材料であることを指します。一定の認証制度に基づいて表示されるケースもあります。一方で無添加は、製造の最終段階で何を加えたか加えなかったかの話です。オーガニックの原材料を使っていても、製造過程で添加物を使えば「オーガニックだが無添加ではない」商品になりますし、逆に安価な原材料を使っていても、添加物さえ加えなければ「無添加だがオーガニックではない」商品になります。

直売所やオーガニック専門店で、有機野菜を使ったジャムが売られているとします。原材料に「有機いちご、砂糖、ゲル化剤」と書かれていれば、原材料は有機でも、ゲル化剤という添加物は使われていることになります。これを「オーガニックだから無添加のはず」と思い込んで買うと、あとで原材料表示を見て意外に感じるかもしれません。

迷いやすいのは、パッケージに両方の言葉が並んでいる商品です。「有機栽培・保存料無添加」のように書かれていると、全体が自然で何も加わっていないような印象を受けますが、実際には香料や増粘剤が別途使われている場合もあります。言葉ごとに指している範囲が違う、ということを意識しておくと読み違えが減ります。

なぜ商品によって「無添加」の基準がバラバラなのか

基準がばらつく理由は、「無添加」という言葉自体に、業界共通の厳密な定義が存在しなかったためです。各メーカーが自社の判断で、どの添加物を指して「無添加」と呼ぶかを決めてきた経緯があります。

この状況を受けて、消費者庁は食品表示について、誤解を招く「無添加」表示を控えるよう指針を示すようになりました。たとえば、もともとその種類の食品には使われないような添加物を取り上げて「無添加」と強調する表示は、紛らわしいとされています。ただし、こうした指針や運用は見直されることがあるため、今の時点の細かいルールをそのまま将来にも当てはめられるとは限りません。

調味料売り場で、二つの似た商品を比べたとします。片方には「化学調味料無添加」、もう片方には何も書かれていません。どちらも原材料にアミノ酸系の調味料が入っていなかったとしても、一方だけがそれをアピールしているだけ、ということがあります。表示の有無は、中身の差ではなく、メーカーの打ち出し方の差であることも多いのです。

ここは消費者側が一つひとつ確認するしかなく、正直なところ手間がかかります。すべての商品の原材料を読み比べる時間はなかなか取れません。せめて「よく買うもの」だけでも、一度じっくり表示を見比べておくと、その後の買い物が楽になります。

「無添加だから体にいい」と考えていいのか

無添加であることと、体への影響が少ないことは、必ずしも同じではありません。添加物の中には、長年の使用実績と安全性の評価を経て使用が認められているものも多くあります。無添加だから安全で、添加物入りだから危険、という単純な図式では説明できない部分があります。

理由としては、まず添加物の安全性は成分ごとに個別に評価されているという点があります。一括りに「添加物=避けるべきもの」とするのは乱暴です。次に、無添加にする代わりに別の方法で保存性や味を補っている場合、その方法自体に一長一短があります。たとえば塩分や糖分を増やして保存性を高める製法もあり、これは添加物を避けた分、別の数値が上がっているとも言えます。最後に、無添加表示は味や品質の良さを保証するものではなく、あくまである種の添加物を使っていないという一点の情報に過ぎません。

漬物売り場で、無添加の漬物と、普通の漬物を手に取り比べてみます。無添加の方が塩分表示を見ると高めになっていることがあります。添加物を減らす代わりに、塩分で保存性を確保しているためです。健康を気にして無添加を選んだつもりが、塩分の摂りすぎにつながる、ということも起こり得ます。

もちろん、添加物をできるだけ減らしたいという考え方自体は自然なものですし、無添加表示が買い物の目安として役立つ場面もあります。ここは個人の価値観によるところが大きく、一概にどちらが正しいとは言えません。ただ、「無添加」の三文字だけで安心してしまわず、原材料表示や栄養成分表示もあわせて見る習慣があると、思っていたのと違う、という場面は減らせると思います。

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